今年はあっという間に梅雨が明けて夏らしい、カッと照りつけるような日差しになりました。先週丸一日雨が降った翌日梅雨明けの宣言が出ましたが、当日の朝に公園のところで蝉が鳴いているのを耳にしました。不思議なものですねえ、梅雨明け宣言を知っていたかのように一気に蝉が鳴き出すのです。こういうときに自然の不思議、生命の不思議を感ぜずにはいられません。何年も何年も土の中でひそみ、梅雨明けと同時に地上に現れ、脱皮をして樹木に登り、声も嗄れよとばかりにここぞと鳴き続け、そして数日で命を終えるのです。陽炎も命の儚さの例えとして引き合いに出されますが、身近な蝉の方がその象徴としては感じさせられます。中には地中にいる間にいつの間にか地表がコンクリートやアスファルトで固められてしまっていて地表で出られずじまいに終わる無念の幼虫もいるのではないかなどと考えると本当に切なくなります。昔子供の頃に照りつける太陽の中を汗で髪の毛を濡らし、腕や顔を真っ黒にしながら蝉取りなどをしたことを懐かしく思い出すとともに、蝉の短い活動時間を切り取ってしまった事への一抹の後悔を感じます。
福島の原発の避難地区の今年の夏は、SF映画のように人気が全くなくなり、人の生活の音もなく静寂が支配するゴーストタウンに、蝉だけがひとしきり夏の訪れを告げながら鳴き集くことでしょう。そんな状況で、蝉は人がいなくなったことを喜んで鳴くののでしょうか、それとも悲しんで鳴くのでしょうか。いずれにしても、人のいない村に蝉だけが鳴き集くそんな不気味ともいえる光景を想像すると、人間の将来はどうなっていくのだろうかと案ぜずにはいられません。。
2011.04.22更新
院長のひとり事
栄でも久屋駐車場の上の盛り土の土手の部分で色鮮やかな黄色いタンポポ見られるようになりました。気の早いものは、もうすっかり綿毛になっていて、風に乗らんと身構えているようです。寒い冬を迎える前にすべての葉を落とした銀杏、つい先日花びらを散らした桜など様々な木が新緑の葉で輝いています。まるで夏の準備をするかのような草木の萌え出す春が来たのだなあと感じます。このように季節はいつものごとく間違いなく移り変わっていくのですが、このたびの震災で被災された方達や原子力発電の事故で避難を余儀なくされている方達には、どう移っているのでしょうか。毎日この関連のニュースが流れていますが、毎日本当に大変など苦労を強いられて見えるのだと思います。大事に育ててきた家畜の牛などの餌も十分にやれなくて痩せ細ってしまったところに、強制退去避難命令が出て牛に餌をやりにもこれなくなって、餓死させねばならなくなってしまった飼い主が、牛の顔をなでながら「ごめんな、ごめんな」と牛に謝っている姿を見たときには涙が溢れてきました。手塩にかけたかわいい牛達を餌がなく、ひもじい思いのまま飢えて死なせるという事を考えると、飼い主の心の痛みはどれほどだろうと。
青い空を見上げると雲は高く流れていきます。この空と福島の空とは繋がっているのです。夜に見上げる星も殆ど福島で見られる星空とは代わりません。自然の営みはどこで何が起こっても、まるで何事もなかったかのように、いつも通り移り変わっていきます。まるで長い自然の営みの中ではたいしたことではないと言わんばかりに。人間が叡智を絞って作り出した原子力の平和利用の一つである発電も、自然にとってはバベルの塔でしかなかったのでしょうか。
青い空を見上げると雲は高く流れていきます。この空と福島の空とは繋がっているのです。夜に見上げる星も殆ど福島で見られる星空とは代わりません。自然の営みはどこで何が起こっても、まるで何事もなかったかのように、いつも通り移り変わっていきます。まるで長い自然の営みの中ではたいしたことではないと言わんばかりに。人間が叡智を絞って作り出した原子力の平和利用の一つである発電も、自然にとってはバベルの塔でしかなかったのでしょうか。
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