不妊治療QA

卵管通過性の検査に関すること

排卵日の検査について

人口受精・精液に関すること

生理周期の身体の変化にかんして

排卵誘発に関すること

クラミジア感染症のこと

 

Q.子宮卵管造影検査を受ける予定なのですが、他の人に聞くとかなり痛い検査だと聞いているのですが、どうなのでしょうか?

痛くないかどうかと聞かれれば、痛くないとはいえないと思います。ただ通過性が悪い場合や、油性の造影剤を使用している場合などに痛みが強く出ます。さらには検査そのものに対する恐怖感や緊張から、子宮から卵管へ移る部位の筋肉収縮が強く起こっても痛みは強くなりますし、子宮内膜症があると検査の前の段階の消毒や器械のセットの時点で痛みをうったえられることがあります。

 

 

 

Q.基礎体温をつけていて高温相の途中で一旦体温が下がる事がありますが、おかしいでしょうか?

どの程度低下するかにもよりますが、1日くらい下がるだけなら余り何も異常のないことが多いですね。
2日以上あるようならば、場合によっては高温相の途中でホルモンを測ってみることも必要となるかも知れませんが、ほとんど問題は無く測定環境の問題でしょう。

Q.基礎体温が排卵日で下がらないのですが、排卵は無いのでしょうか?

よく基礎体温のモデルでは低温相の最終日に一段と基礎体温が下がるになるように書かれていることがありますが、別にそんなことはありません。排卵が起こって黄体ホルモンが出てくるようになり通常2-5ng/mlに達すると基礎体温が上昇するとされていますが、そのホルモンに対する感度は個人差があるのであてにはなりません。排卵はもう終わっているのにまだ低音という方も見えますし、高温になったところで排卵が起こる方も見えます。ちなみに、排卵日に基礎体温がもっtも低下するというだけの制度は基礎体温にはありません。当クリニックでは精度が低いこととストレスの元にもなることが多いのでほとんどの方がつけて見えません(お勧めしていない)。

Q.基礎体温はいつも2相性なのですが、これなら絶対に排卵しているといえるのですか?

基礎体温が2相性でもいつも排卵しているとは限りません。
約10%ほどの頻度で排卵し損なう(黄体化未破裂卵胞、この業界ではLUFなんぞともうしております)事がわかっております。
以前腹腔鏡で観察した頻度では5-10%未満とされておりましたが、経膣超音波検査でのデータではもう少し多く10%ほどは起こっているとされています。
子宮内膜症のある方ではもう少し頻度が高いとされています。

Q.どうも基礎体温をつけていても排卵の時の体温の低下がはっきりわからないのですが。排卵がおかしいのでしょうか?

別に心配ありません。
いつも排卵の時に体温が一段と低下するというわけではありません。
よく基礎体温表などで典型例として描かれているものに、低温相の最終日に基礎体温が一層低下するように描かれているものがありますが、必ず低下するというわけではありません。
人により異なりますし、何の意味もありません。

Q.どうも基礎体温で高温に移っていくところがはっきりしませんが問題があるでしょうか?

基礎体温の松本の分類でいうとII型ということですので、問題がある場合も考えられます。
実際に高温相に分泌されるホルモンの上昇が悪い場合と、単に脳の体温中枢の反応がゆっくりであるだけの場合とが考えられます。
これを確かめるには採血をしてホルモンの値を確かめられるといいでしょう。現在では昔と違ってホルモンを簡単に測定できるようになったので基礎体温の分類の意義はほとんど無いと考えられます。

Q.医者にいわれて基礎体温をつけているのですが、どうも排卵がわかりにくいのですが。

基礎体温はよく勘違いされて見える方が多いのですが、排卵を予知できるものではありません。
あくまでも現在低温相か高温相かを見たり、いつ頃体温が上がってから高温へ移行したのかを見るとか、次の生理が来てから高温相が何日続いていたかを見ることなどが目的で、基礎体温をつけていって、明日が排卵だとかいうのが分かるわけではありません。
数周期の記録から自分の排卵が生理開始後何日くらいで起こりやすいかという程度のことが分かるだけです。

Q.黄体機能不全というとどういうことなのでしょうか?

黄体機能不全という診断は・・・

1)黄体期(高温相)が11日未満
2)高温相のホルモンの値が低い
(一般的には排卵後6-7日目で10ng/mlとされていますが、検査を行う検査機械によって値が少々異なったり、また黄体ホルモンは1日中同じ値というわけでもありません、ホルモンの値は上下しています。従って当院では一応12ng/ml以上あれば問題ないとご説明しております)
3)子宮内膜を採取し、その組織の子宮内膜の状態が高温相になってからの日に相当するかを調べ、実際の高温になってからの日数と比べて2日以上ずれている場合--ただしこの内膜検査は実際に検査の意義が少ないことが明らかになってきておりますので(大学に勤めていたときに実際には自分で評価を数年して見ましたが、ほんのわずかな内膜の検体でも統一された黄体期の状態になっておらずばらつきがすごく大きい為評価が難しいと考えておりました)、痛みを伴う検査であることとお金がかかる割に検査結果の意味少ないので、当院では特殊な小問題のある方以外では、通常の基本的な検査としては行っておりません。

Q.基礎体温の高温相が9日くらいしかないのですが、おかしいでしょうか?

9日くらいだと一寸短いと思います。通常14日くらいの持続があります。最低12日ほどは必要です。
12日未満ですと短くて黄体機能不全ということになります。どういうことかと言いますと、受精卵が着床して内膜の中で成長していたとしても、12日未満で卵巣からのホルモンが低下し生理になってしまうと、卵巣のホルモンの低下を止めるだけの妊娠ホルモンが胚から分泌されていないので、子宮内膜が崩れてきて成長途中の胚もろとも生理となって排出されてしまうからです。

Q.黄体機能不全の治療はどういうものがありますか?

通常行われる治療は・・・

1)黄体ホルモンを補充するための黄体ホルモンの経口剤、注射
2)卵巣からの黄体ホルモンの分泌を促すための、hCGというホルモンの注射
3)黄体期になるまでに(排卵前の時期)ホルモンを産生する細胞を増やしておくための経口排卵誘発剤

などが一般的です。

 

Q.黄体機能不全の治療で使われるhCG注射というのはどういうものでしょうか?

hCGというのは妊娠したときに絨毛組織(胎盤になっていく組織)で分泌されてくるホルモンで、生理的な作用はLH(黄体化ホルモン)と言う排卵の時に大量に分泌されるホルモンと生理的には同じ作用を持ったホルモンです。ただ身体から消失する時間がLHよりも遙かに長いために、排卵を起こすためとか黄体期のホルモンの分泌を安定させる目的で使用します。だいたい体から消失するのは1週間です。

Q.子宮卵管造影検査はいつ行っても良いのですか?

絶対行ってはいけないと言う時期はありませんが、生理中は生理の血液を逆流させてしまったり、子宮腔内の血管に造影剤が入っていってしまったりしますので行いませんし、排卵周辺や高温相でも成熟卵子や受精卵に放射線がかかるので基本的には行いません。推奨されているのは生理が始まって10日以内です。それ以外の時期に行うのであれば一応避妊をされておいた方がよろしいでしょう。

 

 

 

Q.卵管通過性の検査は子宮卵管造影以外にはないのですか?

子宮卵管造影検査以外に卵管通水検査、通気検査があります。通水検査は以前それ専用の液体があったのですが、精度が一定しないと言うことで現在はなくなっています。代わりに生理食塩水に小さな泡を作って、その液体を流すことで超音波上で流れを見る(泡が光って見える)という検査があります。この検査は卵管がまっすぐではないので端から端まで流れを追うのが難しい、あわを作る機材が必要という欠点があります。通気検査は炭酸ガスを子宮腔内に流して、ガスが卵管を通って腹腔内に出るときの音を左右で聞き分けるという検査です。ジュースにストローを入れてボコボコやるのと同じ音が聞こえます。この検査では機械が一定のそれ程高くならない圧力で流すため殆ど痛みがありません。

 

 

 

Q.卵管通過性検査に際して注意しなければいけないことはありますか?

特別にはありませんが、あまり出血があるときはそうおっしゃってください。出血があると卵管の通過性が正確に分かりかねることが出てきますので、別な機会に変更した方がいいでしょう。また排卵が起こりそうな場合も避けた方が賢明でしょう。いずれの検査でも子宮腔内にカテーテルを入れて行いますので、内膜が摩擦などで出血を起こす可能性があり、排卵日が近い状態では内膜も厚くなっており、そこそこの出血が残ってしまう可能性があります。

 

 

 

Q.卵管通過性検査で片方の卵管が閉塞している可能性があるといわれましたが、妊娠できないのでしょうか?

片方の卵管が閉塞していたとしても、妊娠できないというわけではありません。若干妊娠率は落ちますが妊娠は可能です。また片方の卵管が閉塞しているということに関しては、子宮通過性検査のみでは確実性はありません。というのは片方の卵管の通過性がよすぎると、反対側の卵管からの造影剤の流出が不十分となって、閉塞している可能性があるという結果が出てしまいます。

 

 

 

Q. 尿で排卵を知る検査キットを購入して検査しているのですが、昨日は朝より夕方の方が濃く発色したのですが今朝はまた発色が薄くなって、どう解釈したらいいのか分かりません。

 尿で排卵を調べるキットはおそらく尿中に排泄されるLHを検出しているキットのことだと思いますが、排卵時にこのホルモンは脳の下にぶら下がっている脳下垂体というところから大量に分泌され、血液中に出てきます。そして卵巣に排卵の準備を整えさせて、腎臓で血液中から濾過され排泄されます。しかし尿量というのはいつも同じではありません。起きてから活動する日中では、腎臓での濾過率が変わりますし、どれだけ水分を摂取したかとか、どの程度皮膚から水分を失っているか、ということによって尿量は変化します。従って朝の検査結果と夕方の検査結果を比較することは夏ではあまりおすすめいたしかねます(キットの説明書には1日2回朝と夕と書かれているようですが)。このような一日の中での尿量が比較的安定しているのは、早朝午前中の尿で、もし検査をされるのなら午前中早めの尿で検査されることをおすすめいたします。個人差が大きいので検査をされる方がすべてきれいに陽性の発色をするとは限りません。うっすらと発色する程度で終わってしまう方も見えます。

 

 

 

Q.尿中の検査試薬を使っているのですが、少し発色が強くなるような気もするのですが、説明書のようには陽性の発色になりません。排卵がないのでしょうか?

尿中のキットは前の質問のところで書きましたように、あくまで尿で薄められたものを検出しております。従って尿量が多めの方では発色は弱くなります。従って説明書のように強い発色が見られないこともよくあります。まずは1周期分の4,5回の検査結果をとっておいてご自分の陽性反応を確かめられるのがよいと思います。またこの検査結果で明らかに陽性の発色が出ないからといって排卵がないわけではありません。もしご心配ならそれと思われる時期にホルモンの検査をされればよろしいでしょう。

 

 

 

Q.フーナーテストを行う予定になっているのですが、どうも朝に機会をもつことが、うまくいかないのですが。

昔は朝に機会を持ってという検査でしたが、朝はなかなか忙しかったりして、うまく射精が起こらなかったりもするため、検査の前夜(尿の検査が陽性となった夜)で結構です。

 

 

Q.超音波を使う卵管の通過性検査があるという事ですが、どういうものでしょう?

超音波ではただの水では余りよく水の流れが超音波で見えないので、水の中に細かい泡を作るようにする器具を使用して液を子宮腔内に注入し卵管へと流れていく様子を経膣超音波で観察するものです。

 

 

 

Q.超音波によるものと子宮卵管造影検査との違いは何ですか?

超音波を用いる方法は、レントゲン装置を用いるわけではないので簡単であること、放射線被曝がないことが利点でしょう。欠点としては若干行う方に慣れが必要、必ずしも卵管全体が見通せるわけではないこと、子宮腔内のでこぼこを見分けるのには少々向かないことがあげられます。

 

 

Q.子宮卵管造影の後出血がつづいています。原因は何でしょうか?

原因として考えられるのは、検査の際に使用した器具による出血です。昔からある金属製の器具を用いる場合には、子宮を固定するために子宮の入り口の部分を挟みますので、そこから出血することがあります。子宮腔内にシリコンのようなチューブを入れて先の方の風船のようなもので固定する場合にはそれほど出血を起こすことはありませんが、チューブの先で子宮内膜をちょっと傷つけることがあります。これらの出血は通常2,3日で止まりますので、それ以上つづいているようならば、検査によるストレスなどによる月経異常などが引き起こされている可能性もありますので、一度かかってみえる病院にお電話される方がよろしいでしょう。

 

 

Q.二人目の妊娠を希望しているのですが、前の時には子宮卵管造影検査の後にすぐ妊娠しました。今回も子宮卵管造影検査を繰り返した方がいいのでしょうか。

確かに子宮卵管造影検査の後で妊娠する可能性は高いのですが、治療としてこの検査を繰り返されることはあまりおすすめできません。前の妊娠分娩からかなり時間が経過しているのならば別ですが、以前妊娠されたからといってヨード系の造影剤を毎周期治療として使用されるのはよくないと考えます、まあ排卵の時の卵管の通り具合をよくしておきたいとお考えならば通水治療が適当でしょう。

 

Q.人工授精をしていますが、禁欲期間が1週間ほどでは少ないでしょうか?

そんなことはありません。精子の少ない男性であっても、むやみに長い禁欲期間をもうけても、あまり効果はありません。かえって長すぎる禁欲期間は精子の運動率が低下します。

Q.人工授精をしたあと、自宅に帰ってもずっと安静にしていた方がよいのでしょうか?

自宅に帰ってからも安静にする必要はありません。安静にしていないと精子が子宮外にこぼれ落ちてくるというわけではありません。

 

 

Q.人工授精をするということになると、主人も一緒に病院に来ないといけないのでしょうか?仕事の関係でなかなか休むわけにはいかないのですが。

ご主人に病院においでいただかなくても結構です。ご自宅で精液を採取していただいて、奥様がお持ちいただければ結構です。

 

Q.人工授精をするときに精液にどんなことをするのでしょう?スイムアップとかいうお言葉を耳にしましたがこれはどういうことでしょうか?

人工授精の精液処理の方法には様々な方法があります。射出された精液はそれほどきれいというわけではありません。白血球や剥離した細胞、時には雑菌も少量混じります。おまけに精液中の精子がみんな生存しているわけでもありません。従って人工授精を行うときには生きて運動している精子の割合を高めて、なるべく精子のみしかいない培養液を子宮内に送り込んであげないといけません。このために精子を遠心分離で集めてきます。そして、この精子濃度が極めて高くなった沈殿層を新しい培養液などと重層して生きて運動している精子のみをなるべく集めるという操作をします。このきれいな上の培養液中の生きている精子を集める方法の一つがスイムアップという方法で、運動性のある精子ならば、一定の割合できれいな培養液中に泳ぎ上がってきます。この泳ぎ上がってくる精子を集める方法です。このほかに特殊なガラス管を用いますがスイムダウンという、泳ぎ上がった後に重力の関係でまた下に降りてくる精子を集める方法だとか、グラスウールなどを用いて精液を濾過して集める方法もあります。

Q.主人の精子の運動率が悪いといわれていますが、なにかよい治療はありますか?

ご主人の精液所見の悪い場合には一般に、漢方薬や細胞賦活剤などが用いられてきていますが、著明な改善は望み薄といえます。ただ個人差がかなりありますので、正直なところは服用してみてもらわないと分からないというところです。服装として下着はゆったりとしたもの、ジーンズなども肌にぴったりとしたものははかれない方がよろしいでしょう。睾丸が肌に密着して睾丸の温度が上がってきてしまいます。睾丸で精子を作るには体温より2度くらい低い方がよいとされています。また喫煙をなさっているのならばおやめいただいた方がよろしいです。喫煙により明らかに精液所見は悪化します。

Q.精液検査で精子の数がやや少ないと言われたのですが、妊娠は難しいのでしょうか?

精液所見はそのときの体調で大きく異なったりするので、1回のみの検査ではなんとも言えません。1回の検査でも所見が良ければ問題ないのですが、悪い場合は複数回検査を繰り返さないと本当に悪いのかはわかりません。季節によって精液所見が大きく変わってしまう方も見えますし、精液をカップに取ると言うことにストレスがある方は検査結果が悪いことが有り、この場合は繰り返して採取しているとだんだん慣れてきて所見が正常化することがあります。また、精液所見が多少所見が悪くても妊娠されるご夫婦も見えます。 

Q.精液の基準値(正常値)はWHOのものが正しいのでしょうか?

WHOの基準値は妊娠できるという基準ではありません。一般の男性を集めて精液の検査を行った時の分布の値ですので、その基準値を下回ったら妊娠できないと言うことではありません。 

Q.排卵の時期におりものが多くなると聞いているのですが、余り多くなるような気がしません。異常でしょうか?

これはかなり主観的な症状なので、単純にはどうとはいえません。いずれにせよ排卵直前で増加するのは、透明でさらさらした、指や下着に付くと糸を引くようなおりものです。どうしてもご心配ならば、婦人科で診察をされて実際に分泌液の量をみてもらわれるといいと思います。

Q.頚管粘液というものは女性にとってどういう意味を持っているのでしょう?

頚管粘液というものは女性の身体を守る大事な働きを持つものです。女性の身体は外の世界から膣を経て、子宮腔内、卵管内を経て最後には腹腔内に達するという解剖学的な構造を持っている(ここが男性と大きく違う)ので、腹腔内の感染が起きやすいということになります。これを守っているバリアーの一つが頚管粘液です。いつもは粘稠で栓のようになって子宮の入り口を塞いで、膣の雑菌などが子宮腔に入っていかないようにしているとともに、粘液にも殺菌成分が入っていて子宮腔を守っています。でも排卵の時だけは精子を通してあげないといけないので、ムチンや糖のようなねばねばした成分が減り、アルブミンやグロブリンのようなさらさらとした成分が増えてきます。PHもほぼ中性から弱アルカリ性でPH4.0-4.4の強酸性の膣の中に放出された精子がこの粘液に潜り込むことで生きて子宮の中に入っていけるのです。そしてこのさらさらした粘液がちょうど競泳のプールの中に張ってあるロープのような役割を果たし、プールの中を泳ぐ精子を目的の子宮頚管に導いているのです。きわめて巧妙な機構が働いていると思いませんか?

Q.不妊治療を行っていて、排卵から10日ほどして胸が張るような感じがしてまた生理が来るなあと落ち込んでしまうのですが。

胸が張ってきたりするのは必ずしも生理が来る前触れとは限りません。黄体ホルモンが出てきているために起こっている症状です。そのまま張る感じが続いて生理が来るはずなのに来ないというのが妊娠なのです。

Q.高校生の時にダイエットをしてから生理が来なくなっています。別に来ないと楽で良いような気もしますがどうでしょう?

余り放置しておくことは感心できません。医学用語の無月経というものが続くということは、estrogen(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの分泌が非常に悪くなっているということで、余り分泌されない状態で激しいスポーツなどをされると骨のカルシウムの低下から骨折や関節の障害などいろいろな障害が出てくることもあります。1年12回でなくてもよろしいですから、時々病院に行って生理が来るようにホルモン剤のお薬をもらわれてください。胸がぺったんこになってしまったとかいうようなことはホルモンが分泌されるようになれば元に戻ってきます。 

Q.排卵誘発剤にはどういうものがあるのですか?

よく用いられるものには経口剤としてクロミッドやセキソビッドという経口薬とHMG製剤という注射剤があります。これらの経口薬は脳の中央やや下方にある視床下部という生理のリズム全体を調節している中枢に作用します。排卵のリズムが崩れて排卵が起こっていない場合には、この中枢を刺激して排卵を起こします。これに対してhMGは、視床下部からの刺激により、下垂体から分泌され卵巣を刺激するFSH(卵胞刺激ホルモン)と同じ成分です。脳の中枢が動いているか否かにかかわらず直接卵巣を刺激します。これらのほかには併用として用いられるものとして、ブロモクリプチン製剤、副腎皮質ステロイド剤などがあります。最近ではレトロゾールという酵素の阻害剤も治療の中で用いられることがあります。

Q.HMGを使用して排卵誘発を行う場合、卵巣の過剰刺激や多胎を起こさないように出来ないのでしょうか?

いろいろと投与の仕方についての報告はありました。徐々に投与量を増加させる方法、逆に最初に少し多めに使用してその後で使用する量を減らす方法などがあります。さらには生理の調節中枢から分泌されるホルモンを特殊なポンプで少しずつ皮下に注入するという治療も報告されていましたが、特殊な機材を必要とすること、またこれを24時間持ち歩かないといけないことに加え薬剤が高額で保険の適応とならないことなどから現在は殆ど行われておりません。代わりに前にも書きましたように自己注射製剤を使用することでかなり予防が出来るようにはなってきております。

Q.HMGという排卵誘発剤は多胎が増えると聞きましたが

排卵障害の方に使用しますと、妊娠した場合には15-20%の頻度で多胎がおきます。残念ながらこれは完全に避けることは出来ません。これは中枢から来る卵巣刺激ではいくつも排卵しないようにさせるような刺激が卵巣に届くのですが、注射はそのような細かい刺激が出来ないためです。ただいまでは自己注射用のゴナールFペンという製剤が出来てきており。少量を連日注射していくことで排卵卵子個数を減らせるようにはなってきております。

Q.クロミッドでは多胎は起きないのでしょうか?

生理がこない(無月経)方や無排卵周期症(生理は周期的に来るが排卵が起こっていない)の方に投与しますと、妊娠された場合には約6-8%の頻度で多胎が起こります。

Q.HMGで排卵誘発を受けていたのですが、過剰刺激が起こりそうだということで、治療が途中でうち切られました。これは仕方がないのでしょうか?

そうですね。これは仕方がないかもしれません。HMGを使用していて卵胞(卵子の入った殻)がたくさん出来てきた場合、hCGを使用する前で中止することがあります。hCG(排卵を起こすために使用する注射)を投与してしまうと過剰刺激は避けられなくなります。従って重度の過剰刺激が明らかに起こりそうな場合には、hCGを使用せずに中止することがあります。さもないと卵巣は10cm以上になってしまい、腹水貯留(お腹に水がたまってくる)や、ひどい場合には胸水(胸の肺の周りに水がたまる)が貯留して呼吸が苦しくなる場合すらあるからです。

Q.HMGの薬にもいろいろなものがあるということですがどう違うのでしょう?

今現在のHMGという薬は尿から抽出して作っています。この薬を作る際に目的とするFSHのみでなく、LHというホルモンも一緒にある程度抽出されてきてしまいます。現在の薬の違いはこのLHの含有量の違いがその特徴とされています。現在ゴナールFというバイオの技術でFSHというホルモンのみを作り出させた製剤がでていますが、これはLHが全く0となります。

Q.hCGというのは排卵誘発剤なのでしょうか?またこれはどういう薬でしょうか?

HMGやクロミッドなどのいわゆる排卵誘発剤とは違いますが、このホルモンの構造がLHと非常に似通っていて、身体に及ぼす作用もほぼ同じなため、卵子の入った殻である卵胞が十分に発育しているときに排卵を起こすことが出来ます。こういう意味では排卵誘発目的に使用もされます。このほかには黄体期(高温相の期間)に卵巣からホルモンを十分に分泌させるために使用もします。ちなみにこのホルモンは妊娠したときに産生され妊娠診断の検査の時に検出するホルモンです。従って黄体期にこのホルモン注射を何度か行って、あまり日にちをおかずに(1週間以内)妊娠検査をされますと、うっすら検査が陽性になってしまいますのであわてて検査を行わないように注意が必要です。

Q.クラミジアの抗体検査で陽性だといわれたのですが、どういう事が起こっている可能性があるのでしょうか?

抗体の検査でIgGが少なくとも陽性だったということなのだと思いますが、陽性である場合にはある程度長い期間感染が放置されて持続していた可能性が高く、腹腔鏡で腹腔内を覗いたときに子宮周囲や卵管などに炎症による癒着の所見がみられます。場合によっては卵管が閉塞している場合もあります。

Q.クラミジア抗体が陽性だといわれたのですが、治療は必要でしょうか?

難しい質問ですが、一応治療をされることをおすすめします。感染の初期は子宮の頚管というところを擦過することにより、直接クラミジアを検出できますが、しばらくすると検出されなくなってしまいます。この場合治ったとはいえず卵管にまだ住みついている場合があります。ただ感染の可能性があってから長期間経っていると自然治癒してしまっていることも多いのですが、これを体の外から確かめる方法はないので、まあ一応治療されることをおすすめします。

Q.クラミジアに感染するとどういう症状があるのでしょうか?

おりものが多くなる。おりものに少量の血が混じる。といった程度のことが多く、他の卵管炎の様な強い腹痛や発熱はみられないことが多いのが特徴です。silent pelvic inflammatory disease(沈黙の骨盤内感染症)と呼ばれる所以です。明らかな腹痛などは殆どありません。癒着などが起こっている場合腹痛はあっても、疲れたりしたときに、何となく左右のどちらかの下腹部が少し違和感があるというような程度です。

Q.クラミジアに感染しているといわれたのですが、主人は泌尿器科で調べて感染していないといわれています。私には感染する様な覚えはないのですが?

男性は主に尿道に感染を起こしますが、排尿をして尿道を何度も洗い流すことになるため、結構自然に治りやすいのです。このため尿道の擦過や抗体を調べても陰性という結果が出やすい様です。何もしないのに突然クラミジアに感染することはありません。誰かが他の人から貰ってきたからです。

Q.妊娠していてクラミジアに感染しているとどういうことが起こるのですか?

妊娠中に感染して治療が行われていないと、早産の原因ともなります。また分娩までに治療していないと赤ちゃんの結膜炎や肺炎の原因となる可能性もあるといわれています。

Q.妊娠中の治療というと薬は大丈夫なのでしょうか?

クラミジアの治療で使用する薬はふつうの感染症で用いるようなペニシリンのようなものでは効果がありません。治療に用いる薬は限られています。その中でも妊娠中というと更に選択肢は狭くなります。一般には妊娠中はエリスロマイシン系の抗生物質クラリスロマイシンやアジスロマイシンがよく用いられます。まあこれらの薬なら心配はいりません。ニューキノロン系の抗菌剤も効果はありますが妊娠中は使いません。

Q.クラミジア抗体が陽性で抗生物質を服用しましたが、陰性になりません。薬が効いていないのでしょうか?

クラミジア感染を起こしてから、治療されずにかなりの期間放置されていたような場合には、抗体価はなかなか低下しませんし、陰性にならないこともしばしば起こります。頚管を擦過して陽性であったというような場合には、治療後に抗体価が低下して陰性化することも期待できますが、長期にわたってクラミジアが存在した後で治療行ったような場合には、自分の身体を守るための反応である抗体の産生もいつまでも強く刺激されつづけていたわけで、治療によりクラミジアが体内からいなくなってもなかなか抗体を作り続ける力が弱まらなくなっているということです。

Q.下腹部の不快感があり婦人科を受診し、クラミジア検査を受けました。子宮の擦過検査では陰性だったのですが、抗体は陽性でした。治療は必要なのでしょうか?

いつ頃感染したのかが問題ともなります。下腹部の不快感が出現する前におりものが多いような症状があったのならば、治療なさる必要があります。またそのような症状がない場合でも今まで治療したことがないようならば念のため治療を受けておかれてもいいでしょう。

Q.クラミジアの治療のお薬は抗生物質だと思いますが、今までに膀胱炎などで抗生物質を服用しているので、その薬で十分でしょうか?

前に書きましたようにクラミジアに効果のある抗生物質は限られておりますので、もし効果のある抗生物質を服用して見えるのならばよろしいですが、そうでないと効果はありませんので新たに効果のある抗生物質を服用する必要があります。

Q.クラミジアの薬は1-2週間も飲まないといけないといわれたのですが、なぜそんなに長く飲む必要があるのですか?途中で飲むのを休んでもいいですか?

クラミジアに対する薬はクラミジアの成虫にしか効きません。いわゆる卵の状態のものには効果がありません。クラミジアが次の世代の卵を産んで、その卵が成虫になる周期が48時間(以前考えられていたよりも短いことがわかってきています)ほどで、この間薬を飲む必要があります。ですから薬は必ずきちっと続けてお飲みください。さもないと効果が不確実になる可能性があります。しかし、アジスロマイシンは1回服用するだけで効果があります。理由はこの薬一度服用すると1週間くらい体に蓄積するために1回のみで済むのです。婦人科では何日間も服用指示を出して、服用忘れがあると困るので多く処方されています。

Q.クラミジアの薬は1週間飲めば効果は絶対ですか?

たくさんの方たちに服用してもらった薬の効果のデータでは2週間の服用でも残念ながら100%ではないようです。93%くらいとされています。これには薬をきちっと忘れずに飲まれたかも関わってきますが、集計されたデータでは100%にはなっていません。またこのデータでは更に2週間の投与を追加したら100%に達したとしています。最初は1-2週間の服用をとされていたのですが、1週間の服用でも2週間服用と同じくらいの効果があるという結果から、現在は1週間でも良いとされています。

Q.クラミジアによるお腹の中の癒着は普通の診察でわかるのでしょうか?

残念ながらはっきりとはわかりかねます。呼吸をしたときに右の肋骨の下のあたりが痛いと言うような症状があれば、おそらくそこに癒着があると思われますが、それ以外には、なんとなくお腹の下のほうで左右どちらかがいつも変な感じがあるということ以外は特別な症状はありません。腹腔鏡をして初めてわかります。

Q.クラミジアにかかると子宮外妊娠が起こりやすいと聞きましたが。。。

必ず起こるというわけではありませんが、腹腔内に癒着が起こりやすいので、この癒着が卵管の周囲などに起こったり、卵管の内部の繊毛という受精卵を子宮に送っていく細かい毛の組織がダメージを受けたりすると子宮外妊娠が起こりやすくなります。実際に子宮外妊娠を起こされた方のかなりの方でクラミジアによると考えられる癒着を認めます。

Q.クラミジアに感染すると不妊になると聞きましたが

これも必ずというわけではありませんが、卵管炎を起こすと卵管が詰まったり、卵管が癒着で動けなくなったり、卵巣の表面に膜が張ったようになったりして卵子と精子の出会いを妨害して妊娠を妨げます。

Q.クラミジア頚管炎といわれて薬を飲みましたが、治ったかどうかの検査は薬を飲んだ後すぐすればよいでしょうか?

クラミジアの検査方法によります。現在行われているPCR検査などのようなクラミジアのDNAをチェックする検査方法は精度が高いのはよいのですが、クラミジアが死んでも検査する部位に残っていれば検出されてしまいます。したがって直ちに知りたいのはわかりますが、薬を服用後3週間後くらいで検査されることをお勧めします。あまり早く検査をされるとクラミジアは死滅していても検査が陽性になってしまうことがあります。

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