院長のひとりごと

2016.09.28更新

 核移植で人間の新生児が誕生したというニュースが駆け巡っていますね。とうとう誕生したかという印象ですね。この技術は畜産関係では知られた技術で、私も20年くらい前にJack Cohenの講習会で牛の卵を使って細胞質のミトコンドリアの移植と一緒に行ってみましたが、こういうことも将来可能になるのかあと思いました。それからそれ程立たないところでサンフランシスコで行われたアメリカの不妊学会で核移植をして妊娠反応が出たとか言う発表の抄録を見ましたが、実際には発表されなかったので恐らく初期の流産になったのかなと思っていました。それ以来この手の発表はされてこなかった(そう言った卵子を作成し受精させたというような発表は見かけましたが)のですが、とうとうそうやって出来た胚を移植して子供が誕生してきたかという思いです。
 3人の遺伝子の混在するというタイトルが付いていたので何かなと思いましたが、ちょっと表現がおかしいですね。そういう言い方をするのなら普通の妊娠でも2人の遺伝子が混在するということになりますから卵子が本来持っているミトコンドリアと異なるミトコンドリアではありますが、このミトコンドリアの遺伝子は一人歩きして働く遺伝子ではなく、母性遺伝とは言われていますが、どうもミトコンドリアも純粋な母性遺伝のみではないという説もありますので、推測ですがものすごく重大な異常が起こるようには思えません。

 このニュースいいのか悪いのかわかりませんね。ただ卵子の質がよくなくて細胞のエネルギーを生み出すミトコンドリア入れ替えるということで行ったということではなくて、ミトコンドリアに異常をきたす遺伝疾患を持った人に対してという大義名分はありますが......

投稿者: いくたウィメンズクリニック

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