コラム

2023.07.21更新

親子

「赤ちゃんが欲しい」

そう考えて妊娠のための準備を始めるのなら、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。

本記事では、妊娠しやすくなるために今すぐ始めたいことについて解説します。

妊娠がうまくいくためには、女性の努力だけでなく、パートナーとの協力が必要不可欠です。

ぜひこの記事をご覧いただき、カップルで取り組んでいただきたいと思います。

 

Preconception careとは

夫婦

 

「Preconcertion care」というのは妊娠しやすくなるための妊娠前の準備とでも言うべき物です。

妊娠力を高めるために、必要な知識を身につけたり、妊娠しやすい身体づくりをしたりします。

他にも、なかなか自然妊娠に至らない場合に、計画的に行動するという意味でも多く使われる言葉です。

 

妊活を始めるタイミングは?

 

「このような準備はいつから始めたら良いか」と疑問に思う方も多いでしょう。

妊活を始めるタイミングは、人によって考え方がさまざまです。

妊娠や出産は年齢を重ねるにつれてどんどん難しくなり、35歳を過ぎると自然妊娠の確率は大きく下がります。 

ご夫婦の望まれる子どもの人数によってもはじめる年齢は変わってくるでしょう。

今現在は妊娠の予定がない場合でも、将来的に自分が子どもを持ちたいか、何人くらい欲しいかなど、妊娠や出産について前もって考えておくことが大切です。

 

実際にどのように進めたら良いか

 

妊活はどのように進めたら良いか

 

現在、もしくは将来妊娠を望む場合、妊娠できる確率を高く維持しておくことは大切です。

それでは具体的にどのように進めていけば良いのでしょうか。

妊活の基本的な流れを紹介しますので、皆さんのできることから始めていきましょう。

 

パートナーと話し合う

 

お二人の将来の人生設計に係わる大きな要素ですから、まずパートナーとの将来についての話し合いが重要です

妊活は一人で頑張るものではなくパートナーと二人で協力して行う必要があります。

妊娠や出産、育児はパートナーとの食い違いが起きやすいものです。

時間や心に余裕があるうちに、子どもについて話し合い、気持ちや考えを共有しましょう。

その際は、以下の点について確認するのがおすすめです。

 

  • いつ頃子どもが欲しいか
  • 何人の子どもが欲しいか
  • 出産後は仕事や育児をどうしていくか
  • 不妊治療の場合は何歳まで続けるか

 

意見が合わない可能性もあるので、ぜひあらかじめ相談しておいてください。

 

妊娠についての知識を深める

 

正しい知識がないまま妊活を始めても、かえって遠回りになってしまう可能性もあります。

「避妊をしなければ妊娠できる」「人工授精や体外受精をすれば必ず子どもを授かる」このように誤解している方は、妊娠するためのメカニズムをきちんと理解しましょう。

特に、妊娠・出産には適齢期があるというのを知識として身につけることが大切です。

 

基礎体温をチェックし、排卵日を予測する

夫婦

病院に通わないのなら、基礎体温のチェックを行いましょう。

基礎体温は、生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静状態の体温のことを言います。

基礎体温を毎日正しく測定、記録していれば、排卵日のおおまかな予測が可能です。

排卵日2-3日前から隔日くらいでくらいで性交渉をすると妊娠する確率も高まるとされています

基礎体温を確認することで、おおまかにいつ頃排卵が起こりやすいかという妊娠しやすい時期がわかりパートナーとタイミングを合わせられるのです。

また、身体の不調にも気付くこともあります。

妊娠しやすい身体づくりのためにも、忘れずに毎朝基礎体温を測るようにしましょう。

 

風疹の抗体検査・予防接種をする

まずは、風疹の抗体検査をし、もし抗体がなければ予防接種が勧められています。

しかし実際には予防接種をしてもあまり高い抗体価はつきません。良く言って8倍くらいの抗体価が獲得できるくらいです。

中には全く抗体が出来ない方もかなりみえます。予防接種をしたからと言って安心してしまうのは禁物です。接種後に抗体価がどれくらいになっているか確認が必要です。

一応安心な抗体値は32倍以上とされています。

予防接種をしたとしても、とても安心な領域の抗体価までは届かないことが大部分です。だいたい子供の頃にかかっていれば32倍とか16倍になっていることがおおいですね。

その後大人になるまでに風疹のウィルスと接触の機会があったりすると64倍、128倍とか上昇します。

 

風疹の免疫を持っていない女性が妊娠初期に感染すると、一定の割合で胎児が感染してしまい胎児の先天異常が発生する危険性がでてきます。

もう少し遅く3ヶ月以降妊娠5ヶ月くらいまでならば先天異常は発生しないものの難聴が残ることがあります。

このように万が一胎児が風疹に感染すると、重度の障害を持って生まれる可能性もあるため、妊娠前からの感染予防が大切です。

風疹はパートナーの男性が感染すると日常生活を共にしている女性にもうつってしまいます。

リスクを減らすためには、男性も風疹の抗体検査を受けて免疫があるかないかを知っておく必要があります。免疫がない場合はワクチンを接種しましょう。

ワクチンは妊娠中、妊娠する可能性のある場合には打つことを避ける様に厚生労働省の指導ではなっております。

つまり、ワクチン接種後は2カ月間、避妊しなければならなくなります。しかし、気づかずに妊娠してしまった場合、中絶をする必要はないとされています。

風疹のワクチンは弱毒生ワクチンと言ってものすごく弱らせてあるけれど死んではいないウィルスを注射するものなのです。かなり弱らせてあるので風疹に感染することはないのですが、一応死んではいないウィルスなので避ける様な指導になっているのです。

妊娠を考える方は早めに抗体検査を受けましょう。

 

妊娠の確率を高める身体づくりをする

体温

将来の妊娠に備えて妊娠しやすい身体を維持することが大切です。

それではどのような点を意識して進めていけば良いのでしょうか。

妊娠の確率を低くしてしまわない日常の注意点について紹介します。

 

お酒や喫煙を控える

 

妊娠を望まれるのならお酒や喫煙は控えましょう。

日常のアルコールの摂取も、適量であれば問題ありません。

しかし過剰な飲酒は多少影響が出る可能性があります。 

普段お酒を飲んでいる人は、いきなり禁酒してしまうとストレスがかかるかもしれません。

そこで休肝日をつくったり、適量におさえておいたりするのが良いでしょう。

 

煙草にも注意が必要です。 

妊娠してから禁煙をスタートさせる人が少なくありません。

しかしタバコは有害物質を含んでいるため、妊娠を望んだときから禁煙するのが理想です。

たばこを吸われていると妊娠率は半分近くまで低下してしまう可能性があります。これについては医学論文があります。

わかりやすい体外受精を行った成績で低下が確認されています。また低いとはいえ妊娠する可能性はあり妊娠中に喫煙を続けると流産、早産、胎盤の早期剥離、低出生体重児、などいろいろな妊娠中の異常が発生しやすくなり、正常に赤ちゃんが産まれてきても、1年以内に何の予兆もなく突然死亡してしまう乳幼児突然死症候群を起こしやすくなることも知られています。

妊娠中にたばこを吸う行為は赤ちゃんの首を絞めているのと同じだと思ってください。

当院でも喫煙習慣のある方の場合妊娠率は非喫煙者に比べて低くなっております。

自分がタバコを吸わないのはもちろん、副流煙にも気をつけてください。ご主人が隣でたばこを吹かしている場合、妊娠率が低下するというデータがあります。

最近はやりの電子たばこはどうかというとあまりデータはなかったものの、最近やはり低下してしまうというデータが出ております。

 

身体を温める

 

さまざまな不調の原因になると考えられているのが身体の冷えです。

そこで妊活を望まれるのなら体が冷えない様にしましょう。

身体が冷えて血流が悪くなると、子宮や卵巣の細い血管の血液の流れが悪くなり血液の細部への流れが低下し、妊娠の確率が下がる恐れがあります。

妊娠を望まれるのであれば、同時に「温活」をされるのも一つの方法かもしれません。

妊活を始めるのであれば、同時に「温活」も始めてみましょう。

有効かもしれないとおもわれる方法は以下の通りです。必ずしも医学的な証明のされているものとはいえませんが。

 

  • 冷たい飲み物より、白湯や常温の水を飲む
  • 身体を温める作用のある食べ物をとり入れる(発酵食品、根菜類、生姜など)
  • 38〜40℃程度の湯船にゆっくり浸かる
  • 冬場には身体を温めるアイテムを活用する(靴下、カイロ、腹巻きなど)

 

葉酸を摂取する

 

妊活中は葉酸を摂取するのもおすすめです。

葉酸はビタミンB群の一種で、この欠乏が、胎児の発育過程の脊椎の閉鎖するのを妨げるのではないかお考えられており、妊娠中に摂取すると良いとされています。

厚生労働省では、妊娠を計画している女性に対しても十分な量の葉酸を摂取することを呼びかけており、摂取量としては1日あたり400㎍を推奨しているのです。

葉酸は野菜などに多く含まれています。

 

  • 枝豆
  • ブロッコリー
  • ほうれん草
  • アスパラガス など

 

食事でまかないきれない場合はサプリメントを摂取しましょう。

 

バランスの良い食事をとる

 

妊娠を望まれるのであればバランスの良い食事をとるのも大切です。

栄養が偏った食事を続けて様々な栄養バランスの崩れを来すと、バランスの崩れによっては過剰な痩せや肥満を起こし排卵しにくくなったり、女性ホルモンのバランスを狂わせたりして、妊娠しづらい身体になってしまいます。

女性だけでなく、男性も乱れた食生活は肥満や痩せをおこし、精液所見の低下の原因になるので要注意です。 

妊娠を望んでいるカップルは、一緒に栄養バランスの整った食事をとるよう心がけましょう。

肥満は妊娠の確率を下げてしまいます。

食べ過ぎには注意しながら、1日3食必要な栄養素やカロリーをしっかり摂取してください。

 

十分な睡眠をとる

 

妊娠を望まれるのであれば十分な睡眠をとる必要もあります。

「睡眠ホルモン」とも呼ばれるのがメラトニンです。

メラトニンは、抗酸化作用によって卵子の質を高めると言われています。

しかし睡眠時間が少ないとメラトニンの分泌量が低下するため、不妊の原因にもなるのです。

メラトニンが卵子の質に対する好影響を及ぼすと言う外国の論文が有り、実際に山口大学の産婦人科が学会でメラトニンの卵子の質の向上にたいする発表をなんども行っておりました。

なかなか十分な睡眠時間をとれない方も多いかと思いますが、妊活をするうえでは意識して睡眠時間を確保しましょう。

 

適度な運動をする

 

妊活中の場合、血流を良くするために適度な運動をすることも大切です。

ですが、激しく身体を動かす運動や、身体に負荷をかけ過ぎる運動は、体内に活性酸素が大量に発生し、卵子や精子の老化を進め妊娠率が低くなってしまう可能性が考えられます。

実際に週に何度も過度の運動を行うと妊娠率が悪くなると言う論文が有ります、そして適度な運動は妊娠率に良い影響を及ぼすという論文もあります。

そこで妊活におすすめなのが「有酸素運動」です。

ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動を取り入れましょう。

 

ストレスを溜めない

 

日常でのストレスを溜めないよう注意しましょう。 

ストレスを感じると、プロラクチンやコルチゾールといったホルモン分泌が増進されます。

すると排卵や女性ホルモンの分泌が抑制されてしまうのです。

望んでいるにもかかわらず、なかなか妊娠に至らなければ、こどもが欲しいという願望自体がストレスとなってしまい、悪循環になるでしょう。

パートナーと支え合いながら、心がリラックスできるものを見つけましょう。

よくお見かけするのが、妊娠を切望するあまり、ネットサーフィンというインターネットで毎日時間があればあれやこれやとネット検索をされてみえる方達です。

これは、ご自分にどんどんストレスをためていってしまっているだけで、何の利益も無いどころか、逆効果です。

ご自分の持っている妊娠できる力をドンドン低下させてしまって、どんどん妊娠しづらい状態をご自分の中に作り上げてしまっているのです。

 

早めに産婦人科を受診する

 

妊娠を望まれて機会をお持ちになっていて半年以上になっているのであれば、早めに産婦人科を受診するのも大切です。

もし何らかの決定的な問題点があるのであれば、いくら様子を見られてもにんしんにはならず、いたずらに時間を浪費していきます。

早い段階で自分の問題点が明らかになれば、それに対する対処をすることで、早く妊娠することにつながります。

妊娠に一番重要な要因は女性の年齢です。女性は年齢とともに卵子の質は落ちてきて、妊娠しづらくなっていきます。

自覚症状がなくても、不妊の原因があるかもしれません。妊娠しやすい身体なのか、治療が必要なのかチェックしておくのがおすすめです。

 

不妊症検査と不妊治療について

妊活をしていく中で行き着く先は、不妊治療です。

妊娠を希望する健康な男女が、1年間避妊をせず性交しても妊娠に至らないなら「不妊症」と診断されます。

 

不妊治療はいつから始める?

妊娠を望んでいて、いつから不妊治療を開始すれば良いか迷う人も多いでしょう。

不妊治療は必ずしも1年待たなければならないというわけではありません。

明らかに何かご自身で思いつく原因らしいものがありそうであるのならば直ちに相談に行かれるべきでしょう。

また年齢が少々高めの方の場合は特にこれという問題がなくとも妊娠しづらい状態になっているため、早めに検査や治療を行った方が良いでしょう。無駄に時間を費やさない様にされるべきです。

 

不妊治療の種類

 

不妊治療は段階的に進めるのが一般的です。

不妊検査の後は以下のような流れになります。

 

①タイミング法
②人工授精
③体外受精・顕微授精

 

不妊治療では、必要に応じて高度な治療にステップアップさせていきます。

それぞれの方法について詳しく説明していきますので、妊活を始めようと考えている方は、将来的に不妊治療が必要になる場合を見据えたうえで、しっかり理解しておきましょう。

 

①タイミング法

 

タイミング法というのは、最も妊娠しやすい日時を予測し、その周辺の時期に性交渉するタイミングを医師が指導し、妊娠を目指す方法です。

排卵日を予測するための手段として、以下を参考にします。

 

  • 基礎体温
  • 超音波検査
  • 尿中LH検査

 

卵子の寿命はおよそ1日、精子の寿命は3日程度です。

そこで排卵日の3日前ぐらいから性交渉をすると、妊娠の確率が高まるとされています。

規則的に排卵していなかったり、排卵しにくかったりする場合には、排卵誘発剤を使用する場合もあるでしょう。

 

②人工授精

 

人工授精は、女性側の排卵の時期に合わせて、洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内に注入する方法です。

タイミング法よりも少しステップアップした不妊治療となります。

直接子宮に精子を注入するため、卵子と出会う確率が上がり、妊娠につながりやすいでしょう。

「人工授精」という名前を聞くと人工的な方法と誤解されがちです。

しかし妊娠までの過程は自然妊娠に近く、身体への負担も少ないでしょう。

通常3~4回行い、それでも妊娠に至らない場合は、次のステップへと進みます。

 

③体外受精・顕微授精

 

タイミング法や人工授精を経ても妊娠に至らなかった場合、第3のステップとして体外受精や顕微授精という高度な治療に移るのが一般的です。

卵管にトラブルがあるなどの場合には体外で精子と卵子を受精させる「体外受精」が行われます。

精子の状態が悪い場合や、体外受精で卵子に受精現象が起こらない場合などには、顕微鏡を見ながら卵子に針で直接精子注入して受精させる「顕微授精」が行われるのが一般的です。

女性が高齢の場合は、タイミング法や人工授精を行わず、初めから顕微授精となる場合もあります。

 

妊活は早めに始めるのがおすすめ

 

本記事では妊活や不妊治療の種類などについて紹介しました。

「妊活」といっても、その目的や始めるタイミングは人それぞれなので、自分たちに合った方法でスタートさせましょう。

 

〇妊活の進め方

 

  • パートナーと話し合う
  • 妊娠についての知識を深める
  • 基礎体温をチェックし、排卵日を予測する
  • 風疹の抗体検査・予防接種をする
  • 妊娠の確率を高める身体づくりをする
  • 早めに産婦人科を受診する

 

妊活は自分たちの子どもを迎え入れるための大切な準備期間です。

現在妊娠を望んでいない場合でも、将来に備えて早めの準備を考えてみてください。

必要な検査や治療を行い、生活習慣の改善などを積極的に進めましょう。

投稿者: いくたウィメンズクリニック

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